鷲尾翼のブログ

【エッセイ】#42『未来を踊ろう/ベイビー・ドライバー』

  「未来を、踊ろう」

  この言葉は星野源が2015年に発売したアルバム「YELLOW DANCER」に収録されている楽曲「Week End」の歌詞を引用したキャッチコピーだ。僕はこの言葉が大好きだ。

  僕は音楽が好きで、音楽家として活動しているが、好きな音楽に対する優先順位に「踊れる音楽」を意識することが多い。音楽は複雑で、リズムやメロディーはもちろん、ジャンルや時代で大きく変わってしまう。そのため「このジャンルしか聴かない」という極端な音楽好きがいるのも事実だ。

  実際、僕もファンクやソウルなどの「ブラックミュージック」というジャンルを暇あえあれば聞いているが、これは「踊り」を優先した結果だ。

 

  僕の生活には、音楽が付き物だ。

  軽い外出はもちろん、何気ない家事炊事にもイヤホンで好きな音楽を流しながら、そして、踊りながら日々を楽しんでいる。今日も、アース・ウィンド・アンド・ファイヤーの楽曲を聴きながら風呂掃除をしたが、薄暗く狭い風呂場がその時はミラーボールが光るディスコと化し、時間を忘れて愉快に壁の隅々まで磨いていた。

 

  しかし、僕の場合「踊り=ダンス」とは少し違う。

  簡単に言えば「MVごっこ」に近いかもしれない。耳元で流れる音楽に対して、踵でリズムを取るのも、僕にとっては「踊り」だ。スネアドラムのリズムに合わせて手を振れば魔法のステッキのようなファンタジーな爽快感を味わえる。

  このMVごっこに欠かせないのが、時間帯だ。

  夜の楽曲だったら、当然夜に聴きたい。朝が似合う爽やかな楽曲は、スカッと晴れた朝に聴きたい。それを歩きながら胸を張って聞くと、それはもうMVだ。ちなみに、僕のお気に入りは、くるりの「ハイウェイ」を朝の洗濯物を干している時に聞くのが格別なので、ぜひ。

  ただ少し注意する点は、周りから変な人として見られるのは覚悟の上でやるべきだ。そして、車や歩行者に注意して夜道を歩こう。

 

  音楽を聞いて思わず踊っている状態は、憑依に近い。

  そのリズムやメロディー、歌手の歌い方に合わせて行動することは、音楽が空っぽの自分を操り、自分が動いていると、たまに思う。そして、一曲が聴き終わると、スッと我に返り、目の前の苦い現実に戻される感覚がある。

 

  しかし、踊っている時は本当に楽しい。

  これまでの苦い過去も、不安な将来を考えている今も、好きな音楽を聞いて未来を音楽に任せて、我を忘れている時間が嗜好品のように思える。嬉しい時も、悲しい時も、音楽は音色を変えてあなたの味方になってくれる。

 

  未来を、踊ろう。

  今日もこの言葉と共に、音楽に身を任せる。

 

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【本日の映画】

監督・脚本:エドガー・ライト
出演:アンセル・エルゴートケヴィン・スペイシーリリー・ジェームズエイザ・ゴンザレスジョン・ハムジェイミー・フォックスジョン・バーンサルなど
制作:2017
ショーン・オブ・ザ・デッド』『ホット・ファズ -俺たちスーパーポリスメン!- 』などのエドガー・ライト監督のクライムアクション。音楽に乗って天才的なドライビングテクニックを発揮する、犯罪組織の逃がし屋の活躍を描く。主人公のユニークなキャラクター、迫力満点のカーアクションに注目。

 

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