鷲尾翼のブログ

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【エッセイ】#35『めっちゃモテたい!/シングルス』

  「めっちゃモテたい!」

  この言葉は意外に人を動かす力を持っている。

 

  エンタメの種類は多彩で、音楽や映画、小説や芸術、見るもの聞くものなど「五感」を豊かに、娯楽としてその人の人生の拠り所になる大切な存在だ。その多彩なエンタメの中にもジャンルで大きく分かれ、SFやホラー、人生を語るドキュメントまで様々だ。

  そんなエンタメの中でも必ず存在し、圧倒的人気が高いジャンルが「恋愛」だ。

 

  音楽を聞けば「I LOVE YOU」、映画を観れば演出としてキスシーンやベッドシーンがあり、小説も「恋愛小説」が本屋に行けばズラッと並んでいる。YouTubeの急上昇ランキングでは連日知らないカップルが「〇〇やってみた」とイチャついている。

 

  苦手だ。

  苦手というより、恋愛に対する経験値不足で娯楽としての面白さを理解していないのが事実だ。だから、無理に理解しようとは、現状思わない。だが、そんな恋愛経験値がゼロの僕でも少し分かる恋愛に対する動機、それが「モテたい」だ。

 

  「モテたい」は面白い。

  「モテた」が目標のゴールだとすると、「モテたい」はその過程だ。

 

  僕は「モテたい」という少しずつ自分の経験値が積み重なっている感覚が好きで、様々な活動のエネルギーにすることが多い。ドラクエで言うと、ボス戦を前に草むらで一日中モンスターと戦い、レベルを上げている時が楽しい。そして、軽々とボスを倒すのが「モテたい」の醍醐味だ。

  しかし、僕は「モテたい」という過程と実感が好きなだけで、仮に「モテている」とどこかで思うと違和感を感じると思う。

 

  この悩みは贅沢な悩みでもあるが、人生の最後まで悩み続ける議題だろう。

  これは譬え話に過ぎないが、ある釣り人が最初は餌もつけずに浅瀬で針を垂らすが全然釣れない。だが、次第に釣りの面白さやテクニックを学び、両手で持つほどの大きな魚を釣るまで成長する。しかし、それでも満足せずに釣ってはリリースしてを繰り返していると、やがて自分を愚かさに気付き、気づいた時には力尽きてしまう。

 

  けどこの譬え話もしっくりこない。

  高嶺の花を目指しているような感じだが、全然違う。ある日訪れる「違和感」に次第に耐えきれない感じに近い。僕はきっとこの「違和感」と共に心中するだろう。

 

  考えれば考えるほど、迷宮入りしてしまうが「めっちゃモテたい!」といえば何とかなる。

 

  音楽にモテたい!

  文筆にモテたい!

  芸術にモテたい!

  映画にモテたい!

 

  「モテたい」は偉大だ。

  だが、深くは考えないようにしよう。

 

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【本日の映画】

監督・脚本:キャメロン・クロウ
出演:ブリジット・フォンダキーラ・セジウィックキャンベル・スコットマット・ディロンなど
制作:1992
グランジ・ロックで沸き立つシアトルの町を舞台に結婚したくてもなかなかその勇気の出ないカップルの行末、留学生にダマされ手痛い失恋を喫したハイミスが腐れ縁の男とよりを戻すまで、デビューを目指すロッカーに片思いのウェイトレスがいつになったら告白できるか……といったエピソードを綴ったロマンチック群像コメディ。

 

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