鷲尾翼のブログ

鷲尾翼のブログ

音楽の話や連載エッセイ、ラジオの放送後記を随時アップ!

【エッセイ】#33『フラッシュバック/アバウト・タイム〜愛おしい時間について〜』

  僕はフラッシュバックに悩まされるている。

  人間誰しも、過去に過ちを犯す生き物だ。仕事での失敗や失恋、些細な喧嘩も思い出すと自分を責めてしまう。こういう嫌な思い出は思い出したくても中々思い出せないもので、何気ないことで急に思い出し、奇襲される。

  僕が一番多いフラッシュバックは高校時代の出来事が多い。

  我ながらこの時期が刺激と後悔を経験した時期だと思う。週に一回は「ああすれば良かった…」「こんなことしなければ…」と登下校の電車の中で後悔していた。その多くは人間関係だ。

 

  例えば、いつもの帰り道。

  ポツンと一人教室で一時間に一本来るか来ないかの田舎電車を待っている時、突然クラスメイトの女子が話しかけてきた。その人は電車が一緒とは知っているが、お互いそんなに喋ったことがない程度。そんな女子が話しかけてくれたことは今でもめちゃくちゃ嬉しかった。

  しばらくして「一緒に帰ろう」と言われ、もっと嬉しかった。

  嬉しくて、嬉しくて、帰る気満々のあの子に僕はなぜか断った。若気の至りと変なキザな気持ちが混ざり合い、もう一時間教室で待つことになった。

  今でも悲しい背中で帰るあの子が忘れられない。

 

  このような不慣れな人間関係、異性との向き合い方で起こった後悔が山ほどある。

  しかし、そんな後悔がある日突然、襲い掛かる。

 

  先ほどのエピソードは「断る」というシチュエーションで発動する。

  コンビニで女性の店員に「お箸は要りますか?」「袋は大丈夫ですか?」と丁寧に話しかけてくれたのに、会話のテンポが合わずに普通に断ればいいのに「あっ、えっとー大丈夫です…」と不器用に答えてしまうことが多々ある。会計を終え、自動ドアを出る頃に、フラッシュバックが発動してしまい、どんなに好きな音楽を聞いても、どんなに天気が気持ち良くても、その帰り道はあの後悔した話で頭が埋め尽くされる。

 

  このフラッシュバックは日常会話でよく使われる動詞のほとんどが発動条件だ。

  「出かける」「帰る」「歩く」「食べる」「寝る」「料理をする」「洗い物をする」数え切れないフラッシュバックに悩まされ、今後も後悔する日々は上書きされ、フラッシュバックと向き合う時が多くなるだろう。

 

  過去という存在は非常に厄介で、辛辣だ。

  だからこそ、逃げずに向き合わなければいけない。

 

f:id:washitsuba:20210930121741j:image

 

【本日の映画】

監督・脚本:リチャード・カーティス
出演:ドーナル・グリーソン、レイチェル・マクアダムスなど
制作:2013
タイムトラベルの能力を持つ家系に生まれた青年が意中の女性との関係を進展させようと奮闘する中で、愛や幸せの本当の意味に気付くヒューマンコメディー。『ラブ・アクチュアリー』などで知られるラブコメに定評のあるリチャード・カーティス監督が、恋人や友人、家族と育む何げない日常の大切さを描く。

 

【関連記事】