鷲尾翼のブログ

【エッセイ】#25『許せない/ジャンゴ 繋がれざる者』

 人間、生きていれば許せない出来事や人に出会う。

 学生時代に許せないことが起きたときに「大人になればこんなことは起きないはず」と思っていたが、成人を迎えた今、あの頃より倍近く許せないことを出会う。なんて愚かだ。

 きっと学生の頃には分からなかった感情やいい人と嫌な人がハッキリしているせいで、世の中に対する敵意が増しているのだろう。

 僕は音楽家、文筆家、芸術家と創造をし続ける職業の中で「怒り」は重要なエネルギーとなる。怒りに任せて、張り詰めた音で表現したり、毒々しい色で表現をする。もちろん、そのままの言葉や形で生み出すこともある。その逆もある。

 怒りとは奥深い感情だが、その感情になっている現場はとても許せない。

 

 コンビニは許せないことの宝庫だ。

 お目当ての商品がどの店舗にも無かったり、店員が愛想悪かったりと様々だが、特に許せなかったことがつい最近起こった。

 いつものように菓子パンや総菜をカゴに入れ、レジで会計をする際に、僕はホットスナックの方向を指差して「アメリカンドッグ1つください」と言った。店員さんも「分かりました」と手際のよい対応をしてくれて、会計を済ませてコンビニを後にした。

 帰宅後、早速アメリカンドッグを探すが、中に入っていたのはからあげ棒2本だった。先ほどのコンビニまでは徒歩10分程度、猛烈に面倒くさい。そして、僕の滑舌の悪さもあるため、どちらかが悪いとも言えない消化不良の許せない気持ち。

 一瞬、からあげ棒にケチャップをかけて食べようとしたが、さすがにからあげ棒にも申し訳ない。結局、その日は黙々とからあげ棒を食べたが、食べ終わって残るのはどうしようもない怒りだ。

 

 映画館も許せない。

 予告編も終わって本編が始まった頃に堂々と入ってくる客、エンドロールが始まったら明るさ全開のスマホをつけ始める若者。映画館は高級レストランのようにその人の人間性が浮き出る場でもある。映画館とはマナーが問われる場なのだ。

 

 特にマナーが悪いと思う時期は「話題作の公開初日」だ。

 テレビやSNSで何度もCMが流れ、公開されたら「大ヒット公開中!」とよりCMを見る機会が多くなる、年に数回ある話題作。あれだけ広告を出せば、そりゃ観客も多くなる。今の時期だと一席ずつ空けての上映が多いが、満員状態の映画館は少し恐怖を感じるほど気持ち悪くなる。

 満員状態となれば、治安の悪さも目立ち始める。

 何度作品の魅力がマナーの悪さで半減しただろうか。これは素直な怒りから生まれる許せない時間だ。

 

 ここまで散々許せない話をしてきたが、このような出来事を創作活動に取り入れないと、ただのアンチコメントだ。だからといって、このような内容のエッセイを書くことは僕自身が許せない。

 怒りを解消するには、このような話をそっと聞いてくれる人がいれば、この先のことは何も怖くないだろう。

 

 だからこそ、友達や恋人、パートナーという存在は大切なのだ。

 

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【本日の映画】

監督・脚本:クエンティン・タランティーノ
出演:ジェイミー・フォックスレオナルド・ディカプリオクリストフ・ヴァルツなど
制作:2012
イングロリアス・バスターズ』などの異才クエンティン・タランティーノ監督が、前作からおよそ3年ぶりに放つ骨太のアクション大作。19世紀中期のアメリカ南部を舞台に、かつて奴隷だった男の妻奪回のし烈な闘いを描き出す。

 

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