鷲尾翼のブログ

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【エッセイ】#22『くだらなく、ダラダラと。/ビッグ・リボウスキ』

 はぁー、何もしたくない。

 今こうやって毎週金曜日に更新しているエッセイを書いているが、正直やりたくない。締切に追われる文筆業は、残業に近い。

 

 そもそも「仕事」とは何か。

 仕事と楽しいことの違いは何か。

 

 僕は音楽家、文筆家、芸術家の三足の草鞋で活動しているが、きっかけはその活動が好きだからだ。

 音楽を聴いているときも、楽器を弾いているときも、楽曲を作ることも、好きだから「音楽家」と名乗った。

 何気ない日常も、辛かった過去も、これからの未来も、エッセイで伝えたいことが好きだから「文筆家」と名乗った。

 音では表せない、文字では表せない、内に秘めたパンクな爆発力を芸術で表現することが好きだから「芸術家」と名乗った。

 

 元々「好き」という動力で活動してきたが、そこにあらゆる枷をかけられることで「仕事」へと変貌する。

 例えば「締切」というものは時間を制限することはもちろん、クオリティにも関わる。締切を上手に駆使しないと、不完全なものを完成品と偽って、創作した本人も悔いが残る残念な結果が待っている。

 他にも自分のやりたいこととは違う方向で創作活動が進んだり、その環境に不満があれば「好き」という活力はどこかに消えて、ただ目の前の課題をこなしていくしかない。

 これが「仕事」だ。

 

 仕事と好きの両立は難しい。

 だからこそ僕はくだらないく、ダラダラと過ごすことが重要だと思う。

 

 恋人や友人、仕事仲間などの人間関係は今後の人生で重要な関係性だ。関係性を築くきっかけは、共通の趣味や好きな食べ物と様々だ。しかし、僕は「くだらなさ」を共感し合える存在がいい。

 くだらないことは創作業には大切で、自分が面白いと思うこと、それを日常に反映出来る能力、その価値観を表す重要なことだ。その感性を分かち合い、笑い合えることは友情や愛情に並び、大切なことだ。

 

 僕はメディアとは程遠い存在だが、もしテレビや雑誌、ラジオで活躍する頃にはあの頃の「好き」という感情や原動力は無くなっているだろう。

 そういうときは、僅かな休日や何気ない日常をダラダラと過ごし、くだらなさを分かち合える人間関係を大切にするだけでいい。

 

 ただし、くだらなさを求めたり、過度に守ること、それはひとつの仕事だ。ダラダラと過ごせる日々が、どこか羨ましい。

 

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【本日の映画】
監督・脚本:ジョエル・コーエン
出演:ジェフ・ブリッジズ、ジョン・グッドマンスティーヴ・ブシェミなど
制作:1998
 鬼才コーエン兄弟が放つ、奇妙で可笑しい人間ドラマ。同姓同名の人物と間違われた男が巻き込まれる事件の顛末を、多彩なキャラクターを交えながらユーモラスに描く。『ファーゴ』で見せた人間の滑稽さをクローズ・アップ。コーエン兄弟お得意の不条理な可笑しさに満ちた傑作。
 
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