鷲尾翼のブログ

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【エッセイ】#18『成功に執着する呪縛/ウルフ・オブ・ウォールストリート』

 僕は「成功者」という称号を憧れてしまう。

 何をもって成功しているかはその人次第で、僕自身も正確な目標を定めていない。しかし、成功の二文字にはどうしても執着してしまう。

 高々と聳え立つタワーマンションに住んでいるのは、明らかな成功者だ。仕事や金銭面に苦しみながら住んでいるとは到底思えない。他にも、自然豊かで物静かな場所でのんびり暮らすのもその一種だ。

 富、名声、力。この世の全てを手に入れた姿が、成功だ。

 

 僕がこんなに成功者に憧れ、執着しているのか。

 そのきっかけは地元の図書館だと思う。

 

 僕は生粋の読書オンチだ。

 活字をじっくり見るとページをめくることは出来ないので、未だに小説を楽しむことが出来ない。そして、漫画も読めない。

 僕にとって漫画は、複雑な情報を過剰摂取しているような感覚になる。伏線が散りばめられているストーリーを軸に、キャラクターのビジュアル、アクション、その流れるように描かれる絵の多さに、一巻の途中でドッと疲れてしまうほどのオンチっぷりだ。

 今では自分なりの読むペースを身につけ、克服しつつあるが、調子に乗ってAmazonで気になる本を爆買いしたときは毎度後悔する。

 

 そんな読書オンチな僕でも、読書の重要性は重々承知だ。

 僕も文筆業を始めて思うことが、一冊の本を作ることはかなりの時間と労力が必要だ。きっと何十万字という膨大な文字数を書くことは、そこまで大変じゃない。しかし、その内容を書くための経験、エピソードには何年、何十年と、その人の生涯を表している希少価値がある。

 そんな貴重な一冊に気軽に触れられる今の時代だからこそ、本を読むことは重要なのだ。

 

 高校を卒業して少し経った頃、それに気づいた僕は実家の近くの図書館に向かった。そして何となく手に取った「○○の仕事術」と誰が書いて何の仕事術かも忘れてしまったビジネス本を借りて、軽く読んでみた。

 各章のタイトル自体が「○○しなさい」と単刀直入に仕事術を言ったり、「ここがポイント!」みたいな行はちゃんと太字で書かれている。しかも章の終わりのは「第1章のまとめ」と長々と語っていた話を1ページにまとまっていたりと、読書オンチの僕のは少ない情報量でそれ以上の価値を感じる魅力、そして「読書オンチの僕が本を読んでいる」という客観に誇らしく思い、ビジネス本を愛読した。

 

 図書館に行けば「自己啓発・ビジネス」のカテゴリーの本をよく読んだし、Amazonでビジネス系のベストセラーを購読した。「○○すると作業効率が30%アップする」とか「○○をしている人は、上位数%」という見出しに触れまくると、次第に「成功」に執着してしまう。

 

 「成功」と名が付いた本を何十冊も読んでいるのに、当の本人は成功を掴んでいない。その矛盾が、この呪縛を生んでいると思う。

 そして、一通りのビジネス本を読み、飽きていた時、ふとあることに気づいてしまった。

 

 成功には、カリスマ性が必要だ。

 どんだけ成功の秘訣を身につけても、誰にも負けない技術を発揮しても、その人の生まれ持ったカリスマ性には敵わない。

 ゲームでも、どれだけ強い武器や防具を身につけてもレベルが5とかだったら、その強いアイテムすら自分のものに出来ない。

 富、名声、力。この世の全てを手に入れた姿が、成功なのだ。

 

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【本日の映画】

ウルフ・オブ・ウォールストリート (字幕版)

ウルフ・オブ・ウォールストリート (字幕版)

  • 発売日: 2014/05/14
  • メディア: Prime Video
 

監督:マーティン・スコセッシ
出演:レオナルド・ディカプリオジョナ・ヒルマーゴット・ロビーなど
制作:2013
実在の株式ブローカー、ジョーダン・ベルフォートの回想録を映画化した実録ドラマ。1980年代から1990年代のウォール街で、若くして大金を稼ぎ、その後証券詐欺の容疑で逮捕された彼の栄枯盛衰を見つめていく。

 

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