鷲尾翼のブログ

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【エッセイ】#07『逆を進む/インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説』

 僕は割とつまらない人間だ。

 起きる時間、寝る時間は毎度違えど、1週間と大きく捉えた場合、何曜日に何かをやることは決まってくる。火曜日と金曜日は洗濯と掃除の日、木曜日は筋トレ、金曜日は映画館に足を運ぶ。

 普段生きていくうえでは何も感じないが、ある程度ルーティーン化すると、たまに予想外のスケジュールで過ごす一日はどこかワクワクする。

 

 ある日、何も予定が無い日が突然出来てしまった。

 家事もしなくていい、いつも通り映画やYouTube、録画していたバラエティ番組をダラダラ消費するのも、どこかつまらない。

 その日は、どこからか漲る行動力の消費に悩まされた。

 

 とりあえず、動きたい。

 そう思って軽く着替えて、外に出たものの目的地を定めていない。しばらく考えた末、目的地を決めずにとりあえず歩くことにした。

 歩いて、歩いて、気づいたらいつも通りの道で駅まで向かっていた。なんてつまらない人間なんだ。仕方なくその場で立ちすくみ、僕はあるルールを設けた。

 

 「逆を意識する」

 

 普段歩いている道も必ず、分かれ道がある。それを意識するだけでいつも通りの景色が大きく変わる。

 左を右に、右を左に、何も考えずに進んでいくと、未体験な出来事に遭遇する。

 自動販売機や街灯の位置など普段何気ない日常の景色の中にある物も全然違うように見える。そして、何より人と天気が不思議な違和感を感じるほど変わっていく。

 

 服装やカバン、自転車通勤なのか徒歩なのか、老若男女の比率など、ただ単純に朝だからサラリーマンが多いとか夕方だから買い物袋が片手にあるとかではない、その場所での人の動きをすれ違うたびに感じた。

 また、天気も不思議と変わっていた。

 今まで曇りだったのに晴れになったとかではなく、肌で感じる温度や風があるところでジワッと汗をかいたり、急に寒く感じたりした。ただ単純に天候が予報通りに変わったかもしれないが、スピリチュアル的な感覚で不思議な時間を過ごした。

 

 それからしばらく歩いて、ある川に辿り着いた。

 心地いい風になびく雑草、穏やかに流れる川のせせらぎにしばらく感じてなかった癒しをもらえた。ふと周りを見ると、こんな自然豊かな場所を何気なく歩いているおばあちゃんがいた。

 きっと僕がルーティーンのように感じていた日々を、あのおばあちゃんはこの場所で感じているのだろう。そう思うと、景色が変わらないことはある時のきっかけでもあり、残酷な一面もある。

 

 その日の帰り道、僕は何気ない日常に嫌悪感を感じた。

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【本日の映画】
制作:1984
「レイダース/失われたアーク」に続くシリーズ第2弾。とは言っても舞台設定は前作の1年前、1935年の上海。暗黒街の組織の策略にはめられたインディは飛行機から脱出、インドの山奥に降り立つ。
 
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