僕は相変わらず孤独な人生を送っている。
「孤独」という言葉は自発的に使うのはタブーだが、それにしても僕の周りは発展しない。
ある人は友達や恋人という存在に頼り、ある人は孤独という事実を噛みしめてストイックに生きる。
僕の場合、映画などの映像作品のキャラクターやワンシーンに共有して孤軍奮闘している。
2020年12月現在、自分の人生の支えになっている作品は「星野源のひとりエッジ」「ブルース・ブラザーズ」「ストップ・メイキング・センス」「ジョーカー」の4つだ。せっかくなので、ひとつひとつ語ろう。
まずは「星野源のひとりエッジ」
これは星野源が2015年8月12、13日の2日間武道館で行われた一人っきりの弾き語りライブ。その模様が収録されたライブDVDが星野源の4thアルバム「YELLOW DANCER」の初回限定版に収録されたのを、当時高校生だった僕はなけなしの小遣いで買って初めて星野源のライブをテレビ越しに観て、衝撃を受けた。
簡単に言えば「こういうことしたい!」という具体的な目標と憧れを浴びるように感じた。しかし、それはやりたいことを見つけた希望でもあるが、星野源が自分のやりたいことを次々と実現しているという失望でもある。
その事実は今でも僕の課題でもあるが、それよりもこの作品を初めて観て音楽の道に進もうと決めた野心がたまに見返すと蘇る。
「星野源のひとりエッジ」は音楽への「きっかけ」を何度も与えてくれる大切な作品だ。
「ブルース・ブラザーズ(The Blues Brothers)」も星野源がきっかけで知った作品でもある。
「ブルース・ブラザーズ」とは、1980年にジョン・ベルーシとダン・エイクロイドが主演のコメディ映画で、30年経った今でも愛される名作だ。
「YELLOW DANCER」が発売させた頃、アルバムの宣伝のため星野源が各メディアに出演した。アルバムのコンセプトが「日本人ならではのブラックミュージック(通称「YELLOW MUSIC」)」ということで、星野源は「ブラックミュージック」の魅力を語っていた。その中でも度々名前に挙がるのが「ブルース・ブラザーズ」だった。
すぐに中古のDVDを購入して鑑賞した。
抜群のリズムとノリ、そして型にはまらない唯一無二の音楽、この作品で僕は「ブラックミュージック」を学んだ。
当時の僕は世間の流行ソングに疑問を持ち、自分が生まれる前の1960-90年代の歌謡曲や洋楽を好んで聴いていた。しかし、ロックやJ-POPなどの「ジャンル」の好みまでは分からなかった時に、「ブラックミュージック」という言葉を知った。
自分の好きな音楽を的確に知れたことや、日本の歌謡曲文化にブラックミュージックが関係していることなど、僕の中での音楽歴でひとつのターニングポイントと言える作品だ。
「ストップ・メイキング・センス」と「ジョーカー」は最近観て感動した作品だ。
「ストップ・メイキング・センス(STOP MAKING SENSE)」とは、1974年に結成されたアメリカの人気バンド、トーキング・ヘッズが1983年12月にロサンゼルスで公演されたライブの模様を「羊たちの沈黙」で知られるジョナサン・デミ監督が収めたライブフィルム。
「ジョーカー(JOKER)」は昨年公開されたホアキン・フェニックス主演の話題作。
「ストップ・メイキング・センス」は、ライブの構成やデヴィッド・バーンの自由奔放なパフォーマンスが魅力だ。
最初にデヴィッド・バーンが名曲「Psyoho Killer」を弾き語り、ティナ・ウェイマス、クリス・フランツ、ジェリー・ハリスンとバンドメンバーが一曲終わるたびにライブに加わり、最後にはサポートメンバーやダンサーを含めてどんちゃん騒ぎになる演出は何度見ても凄味を感じる。
また、同年発売された同名アルバムをライブアルバムの中でも音楽の魅力が詰まった名盤で何度も聴いている。
「ジョーカー」は、今まで観てきた映画の中で一番主人公に感情移入出来てしまう。主人公で後のジョーカーであるアーサーは、売れないコメディアンで環境にとにかく恵まれない。周りの人に馬鹿にされ、暴力を振るわれ、悲劇の道を歩んでしまう孤独な主人公に始めて観たときにパズルのピースがぴったりハマったように衝撃を受けた。
また、1940-60年代に活躍したフランク・シナトラの楽曲「That's Life」は劇中でも何度も流れる名曲で、この曲を聞くと自分の中の狂気的な内面をエネルギーに変えてくれる。
これからもこのように自分を助けてくる作品に出会うだろう。
そして、また僕は孤独なのだろう。
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