鷲尾翼のブログ

【エッセイ】#74『ストリップ』

 僕はこのエッセイとは別に、「まとめシネマ」という長めの映画感想を3行にギュッとまとめた映画感想をSNS不定期で投稿している。

 映画感想を執筆している中で、ある映画を「ハズレのストリップ」と酷評した。その映画は某サイトで星1.7とかなりの低評価を受けている作品。この作品の監督も「アメリカ史上最低の映画監督」と言われたエド・ウッド氏の作品なので、僕も含めて愛情をこめて低評価を付けている人がいるため、星1.7という前代未聞の評価を受けているのだろう。

 

 しかし、僕はある嘘を当時ついてしまった。

 それは「ハズレのストリップ」と酷評したのにもかかわらず、ストリップを観たことがなかったのだ。

 

 当時の僕の「ストリップ」のイメージは「裸の女性が踊る」ぐらいの浅はかなイメージでストリップという言葉を使っていた。それに「いつか観に行きたいな…」という気持ちが何度か浮かんだことがあったのも意識し始めた理由のひとつだろう。

 そんなモヤモヤしていた衝動を抱えたある日、僕はストリップを観に行くことにした。

 

 自主制作のラジオの作業を急いで終わらせて、浅草にあるストリップの名所浅草ロック座に足を運んだ。夜中の公演を観に行く予定だったので、夜の8時前に浅草に到着したのだが、夜の浅草の風景もどこか独特だった。

 

 僕は何度か浅草に行ったことがあるが、観光客がギュウギュウになりながら歩く昼の浅草しか印象がなかった。しかし、夜の浅草はコロナの影響もあるが、誰もいない。暖色の街灯が点々と照らされた古き良き江戸の街を自分一人だけ歩いている時間は、心地よく、肌を伝う風も色っぽかった。

 

 そして、浅草ロック座に到着して、4000円のチケットを買い、初めてのストリップを体験した。

 約2時間の公演で5人のストリッパー、全8項目に分かれている。その時観に行ったストリップのテーマが「ロック」だったらしく、劇中に流れる楽曲がRCサクセションやSuperflyなどパワフルなサウンドが会場に響く。

 全8項目の演目は、それぞれで激しいEDMと照明が目立つクラブのようなものや、西部劇、浅草らしい大衆劇、シンプルな照明で魅せるバレエなど違った良さが楽しめる。

 

 そして、ストリッパーが何よりカッコよかった。

 初めて見るストリップに不安にもなるし緊張もするし、下心もあった。しかし、全力で踊るストリッパーを観ると、「ダンサー」とは言い表せない力強い確かな覚悟を感じて思わず感動した。

 

 2時間の公演を終えて、余韻に浸りながらストリップのことを調べると、ストリップは廃れてしまうものらしい。

 日本の法律上、新しくストリップ劇場を開店することが出来ず、浅草ロック座を含めて今ある劇場でしかストリップを観ることができない。

 

 衝動に任せて観に行った僕だが、偶然にも貴重な体験をした。しかし、この経験は決して忘れることの出来ないものだった。

 そして、ストリップは古き良き日本の文化だと確信した。

 

 帰宅後、ふと思う。

 あの映画はやはり、ハズレのストリップだった、と。

 

f:id:washitsuba:20200923040129j:plain

 

【告知】
毎週土曜日21時にYouTubeでラジオ番組「鷲尾翼の青い電波塔」を放送してます!


詳しくは下記のリンクから!メールも募集しています!!!


【関連記事】