僕の行動力の大半は、衝動と直感だ。
「あっ、これやりたい…」とふと思ったことを、他の抱えている問題や課題より優先して行動に移す。そのステップもすぐやるわけでもなく、スマホでYouTubeを見ながらやる気スイッチがONになるのを待つ。そして、突然始める。
このように僕は可もなく不可もない行動力で今日まで過ごしてきた。
そんなある日の夜、ふと思ってしまった。
「魚を捌きたい…」
僕は魚を捌いたことはほとんどない。最後に捌いたと言えば、3~4年前に祖母の手伝いで見様見真似でイナダというハマチのような魚を捌いた記憶がうっすらある程度だ。
多分、こんな衝動に駆られたのもYouTubeだろう。「魚を捌く」チャンネルで一番有名なのがチャンネル登録者数が350万人以上(2020年7月現在)の「きまぐれクック」だ。魚に対しての豊富な知識とふぐの調理師免許を持つほどの技術で、観ている我々が手際のよい魚の捌きに思わず爽快感を感じるほどの中毒性のあるYouTubeチャンネルだ。
今では、きまぐれクックの動画のオマージュを交えた「魚を捌いてみた系」の動画が増えているほどひとつのジャンルとして普及しつつある。そうなると、YouTubeを見ているだけで「魚を捌きたい」という欲求に駆られたのだろう。
衝動に駆られた翌日、僕は近所のスーパーで600円のイナダを買った。
家に帰ってキッチンに立って、ある問題が起こったs。散々「魚を捌きたい」と衝動に駆られていたのに、イナダを買った今、その感覚がなくなっているのだ。きっと僕は「魚を捌きたい」のではなく、「一匹の魚を買ってみたい」という衝動に駆られていたのだ。
しかし今、僕はキッチンでイナダと目が合っている。しょうがない、半分夢を叶える気持ちで、半分義務の気持ちでイナダを捌くことにした。
幸いなことに、僕の家には刺身包丁があったので、調理道具の不備で捌けないということはなく、頭を落とし、内臓を取り出し、血合いなどを洗い流した。
そして、肝心なのが「三枚おろし」という作業だ。大半の人が「魚を捌く=三枚おろし」というイメージがあるほど定番の工程だが、一番技術がいる。この作業で上手い下手が分かれるほどだと思っている。
見様見真似に三枚おろしをした結果、可もなく不可もないボロっとしている部分はあるが切り身として成立している、点数にして75点の三枚おろしが出来た。
グッと疲れた僕は、キッチンの後片付けを終えた後、軽く寝てしまった。ハッと目が覚めたときには少し薄暗くなっているほどの夜を迎えていた。
その日の刺身定食は美味しかった。
また「捌く」という衝動に駆られるだろう。
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