鷲尾翼のブログ

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【エッセイ】#61『サイコパス』

 僕は、サイコパスだ。

 

 近年は、猟奇的で不気味で都市伝説として扱われてしまうような事件は少なく、「サイコパス」という表現はドラマや映画などのフィクションでよく見かける。

サイコパス」という言葉を調べると、数多くの定義の元、どのレベルでどのような症状なのか、その人にしか分からない唯一無二の精神病らしい。

 僕は、映画やドラマでの猟奇的な犯人、ニュースなので見かける犯人像を強く否定できない。もちろん、過ちを肯定するわけではないが、そこまでに至る経緯や環境、精神的な部分において、「同じ環境にいるのでは…」と思うことが時々ある。

 それを強く思った出来事が最近あった。

 

 新型コロナウイルスによる緊急事態宣言が解除されて、映画館の営業再開され始めた頃。僕の行きつけの映画館では、新作映画とは別に過去に上映された名作映画が何本かリバイバル上映されていた。

 その中に「ハウス・ジャック・ビルト」という作品があった。

 

 この作品は「ダンサー・イン・ザ・ダーク」などで知られラース・フォン・トリアー監督による2019年に日本で上映されたR18指定の過激な問題作。物語は、建築家を目指す技師のジャックがある出来事をきっかけに殺人鬼と化した12年間を描いたサイコロジカルホラー映画。

 この「ハウス・ジャック・ビルト」は、僕が映画好きになった思い出深い作品でもある。昨年この作品を何年ぶりの映画館で観て、主人公・ジャックのアートの価値観が似ていたり、あまりにも過激でショッキングな描写に「映画」というものに対する可能性を感じた。

 そして、最近「ハウス・ジャック・ビルト」を約1年ぶりに映画館で鑑賞して、あの時に思えなかった感情に駆られた。

 

 まず、物語のキーポイントとも言える冒頭のジャックがシリアルキラーとなるきっかけになった出来事、それ以降のジャックの猟奇的な行動に共感してしまった。

 その出来事というのは、ジャックが山道を車で走っているとある女性が車が故障したと助けを求める。その女性は非常に自分勝手でジャックを修理工場まで連れまわしたり、最終的にはジャックの車に勝手に乗って目的地まで送るよう促す。また、その車内でもジャックに対して挑発的な言動・態度を何度も繰り返してくる。それに怒ったジャックが手元にあった工具でその女性を衝動的に殺してしまう。

 この出来後をきっかけに、ジャックはシリアルキラーとなるのだが、僕もこのような出来事に遭遇した場合、ジャックを同じ行動を起こしてしまうだろう。

 

 僕は、実際に人や小動物を殺したことはないが、妄想では何人も殺している。通りすがりの人にイライラしたときは、その人を妄想で追いかけ淡々と殺す。

 妄想ということをいいことに、老若男女問わず、例え小学生でも高齢者でもギャルでもパリピでも、家族でも親戚でも、誰でも殺してきた。何度も。

 

 今でこそ妄想で収まっているが、高校生の頃、選択肢を間違っていたら人を殺していたのかと思う分岐点がある。

 

 僕は農業高校出身で、2年生になるタイミングで授業内容が分かれる選択授業のような進路を決めなければいけなかった。結果的に僕は「食品化学科」というジャムや味噌を作ったりするコースに進んだのだが、他のコースに「植物科」と「畜産科」があった。

 僕が恐れているのは「畜産科に進んだ場合」の未来を描いてしまうことだ。

 

 3年生の夏の終わりか秋を感じる頃、畜産科に進んだ生徒の手には丸々一羽分のローストチキンがあった。理由を聞くと、自分たちで鶏を屠殺したのを加工して持ち帰っているとのこと。

 実際に屠殺の現場を見てはいないが、「もしも僕が…」と考えるときが何度もあるほど自分にとって衝撃的な出来事だった。

 

 歴史的な残忍な事件を起こしたサイコパスと言われる人物の多くは、人を殺す前に小動物を殺してから「人を殺したい」という衝動に駆られ、事件を起こすことが多い。

 やはり「妄想」と「経験」では衝動の対象が変わっていく。妄想はいつまで経ってもターゲットを変えないが、経験者は次なる未体験を求める。

 

 この「妄想」と「経験」の差は大きく、見方を変えれば仕事術として「やるかやらないか」という話に変えられる。

 僕のそういう人になりたい。例え僕がこの先成功したとしても、失敗してもこれだけは言える。

 

 僕はサイコパスだ。

 これからも人を殺していく。

 

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