鷲尾翼のブログ

【エッセイ】#54『15年ぶりの入院』

 4月中旬、新型コロナウイルスの影響で世間が危機的状況の中、僕は10日ほど入院をしていた。

 コロナで入院したわけではない。これはしっかり言っておかないと、誤解を招いてしまうのでもう一度言っておこう。

 『僕はコロナで入院したわけではない』

 

 では、何で入院したのか。

 痔だ。いぼ痔の手術のために入院していた。

 

 きっかけは、4月上旬。

 いつものようにトイレで用を足した後、トイレットペーパーで拭くと明らかに異物感を感じる。言うまでもない、痔を発症してしまった。

 実は、前々から気にはしていたが、小さい痔は数年前に確認済みだった。それが、突然悪化したのだ。その日の昼頃、薬局で坐薬タイプのボラギノールを購入して、さっそく投与して、その後の夜勤のバイトのために仮眠した。

 

 そして、事件が起こった。

 バイトの休憩でトイレを用を足したとき、チラッとトイレを見ると、鮮明な赤色が広がっていた。恐る恐るトイレットペーパーで拭くと、数秒で何重にも巻いたトイレットペーパーでも手まで染みるほど血が垂れていた。

 明らかに痔のせいだ。それもボラギノールを投与したその日の夜だ。痔に効いたのか悪化させたのか分からないが、僕はトイレを痔で染めてしまった。

 よく痔のエピソードで「トイレが殺人現場になる」ということを聴いたことがあるが、それだとすると僕は推定30人は殺したかもしれない。

 

 数日後、最寄りの病院に駆けつけ受診と大腸検査も行った。結果はいぼ痔で、受診してくれた医師と大腸検査してくれた医師両方に、入院を勧められた。

 その日からバイト先、両親などに頭を下げて入院を決心した。

 

 僕は骨折や意識不明などで救急車に運ばれるほどの大怪我になったことがない。しかし、一度だけ入院を経験したことがある。

 それが今から15年前。僕が5歳の頃、体の一部に膿が溜まってしまい膿の摘出手術のために入院した過去がある。今でも覚えているが、手術室のライトがたこ焼き機に見えて、根性焼きのような拷問をさせられると思い、手術以上に怖く号泣したのを覚えている。

 しかし、何日入院したのか覚えていないが、過度に長く感じた記憶があり、痔で入院する際にはその不透明な記憶を頼りに15年ぶりの入院に足を運んだ。

 

 僕の入院過程を簡単に説明すると、入院初日に浣腸や流動食で腸内を空の状態にして、翌日局部麻酔を打って30分程度の手術を行う。その後はベッドで頭を上げれない状態で一日が終わる。

 その後の8日間は術後の痛みの痛み止めを飲みながら我慢する期間だ。

 

 朝の6時に起床、夜の9時に消灯という一日のサイクルで、15分程度の診察と風呂や食事以外はベッドでとにかく安静しなければいけない。僕は入院直前にiPadNetflixやプライムビデオで映画やドラマを大量にダウンロードをしていたおかげで、過剰摂取のようにエンタメに触れながら暇を積極的に潰していた。

 

 今や新型コロナウイルスで、ある人は病院で隔離された状態で戦っている。外出が制限されているせいか、入院する人も少なかった。そのおかげで、本来4人部屋なのだが、僕を含めて2人で過ごしていた。

 なので、疑似的だが隔離させた生活を送ることになった。早すぎる消灯で一気に暗くなり窓から刺す街灯の光しか感じないときには、ものすごく寂しくなった。きっと、自分は動けるのに動いちゃいけない「見えない束縛」を感じたからだろう。

 この経験を踏まえて「新型コロナウイルス」という言葉を安易に使ってはいけないと思った。もちろん、感染者数を減らすために発言するのは承知の上だが、感染者側・病院で隔離されている状態で戦っている人からしたら、「感染してしまった…」という精神的な壁の厚みを増やすだけだ。

 

 だから、今の時期大切なのは「感染防止」はもちろん、『感染者へのケア』も忘れちゃいけないことだ。

 

 これを書いている頃には退院して1週間程度経っている状態だが、痛みはほとんどない。だが、今大変なのがあの入院していた頃の生活リズムを崩すのが苦行だ。あと数日で夜勤のバイトが始まるのに夜の9時にはウトウトしてしまう。そして気づいたら朝の6時には起きてしまう。

 健康的な生活だが、これから不健康な生活リズムにしなければならないことも一つの苦行だ。

 

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