鷲尾翼のブログ

【エッセイ】#28『ポイントカード』

 ついさっき起こった出来事で個人的に嬉しかったのでここに記す。

 

 僕はコーヒー愛好家だ。品種名を言うと「ネスカフェ」の900mlペットボトルのコーヒーを「無糖」と「甘さひかえめ」の2種類は冷蔵庫に常備している。むしろ、それ以外のコーヒーはほとんど買わない。

 なぜこのコーヒーを好むのか。一番の理由は「油っぽくない」からだ。一度別のコーヒーを安いという単純な理由で買ったことがある。しかし、一口飲んだ時に変な油っぽさを感じた。まるで水と油が二層に分離しているものを飲んでいるかのようなクドさがあった。そのコーヒーも同様に900mlあった。一口分を引くと、おおよそ880mlはあるだろう。

 絶望だ。それ以降は「ネスカフェ」を愛好している。

 

 今日もコーヒーを飲もうと氷を3つほど入れたコップを片手に冷蔵庫を開けると、コーヒーはあるもののペットボトルの底をピチャピチャを音を立てるもの難しいほどわずかな量のコーヒーが。

 これは買いに行くしかない。部屋着だと恥ずかしいのでパーカーを羽織り、帽子をかぶり、鼻炎防止のマスクをつけて。パッと見、不審者のような格好で近くの薬局に向かうために自転車に足をかけた。

 

 徒歩でもいい距離だが自転車で向かう、哀れなカフェイン中毒者が薬局の自動ドアが開いた瞬間向かう先は、もちろん食品コーナーだ。

 食品コーナーの中でも「ネスカフェ」のコーヒーは奥の隅にある。僕は迷わず「無糖」と「甘さひかえめ」の2種類を手にレジに向かった。

 夕方時ともあってレジに向かう人も多く僕の前には1人、2人と並んでいた。手にはコーヒーが2本と長財布と両手では溢れてしまうような持ち方に悪戦苦闘している頃、「次の方どうぞ」という声が。

 僕は「休止中」のプレートが外れたレジに早速並んだ。

 

 ピッ…ピッ…

 「味が違いますけど、いいんですか?」

 今まで聞かれたことがない質問だ。僕は何気なく「はい。大丈夫ですよ。」と答えた。

 「かしこまりました。お家に着いた時に『違った…』ってなったら大変でしょ?」

 だいぶフランクだが、僕にとっては好印象な店員だ。見た目は40代前後のパートさん。口調もそれらしい。

 財布を開いたとき、あの言葉が。

 

 「ポイントカードは持ってますか?」

 僕は毎度のようにこう言う。「いえ、持っていません。」

 「今、作れますけどどうしますか?」

 「いや…今日はいいですかね…」

 いつもならそのままレジ袋に入ったコーヒーを片手に出口に向かうのだが、今日は違った。

 

 「今なら、ラップがついてきますよ。」

 んっ…ラップ?

 「毎回こんな質問聞かれるのはうんざりでしょ?」

 気づいたら、名前と住所を書いていた。

 

 まるで一流セールスマンのようなそのテクニックにまんまとやられた。

 しかし、こういう「ポイントカードの壁」というのものは不思議なものだ。

 「ポイントカードを作るほどこの店によく寄るのか?」そんな疑問は月に2~3回来店するあの薬局にも思う。

 それに財布をポイントカードで埋めたくない。僕の脳みそは3枚のポイントカードにか認識しない。それ以上は持っていても忘却に値する。

 けど、作ってしまうとどうだ。その疑念はまず払拭される。

 まず思うことは「作ってよかった。」この言葉で完結してしまう。

 

 今日の僕は一味違う。

 あのレジ袋にはラップ、財布にはポイントカードが入っているのだ。

 

 

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