この曲がバンドが解散発表したときの曲だと思わなかった。
大人になるにつれ、椎名林檎の魅力、表現力の唯一無二な感じに気づき、日々学生時代に「椎名林檎なんて…」と思っていた自分をボコボコにしたい。
簡単に東京事変を説明すると、椎名林檎自身の活動意欲を甦らせるために結成されたバンドだ。曲の制作欲を自分のためではなくバンドメンバーのために生み出してきた曲の数々は実験的で爆発力のある芸術作品だ。
その中でもこの曲は自分の中でも去り際がかっこよすぎる曲のひとつだ。バンドイメージを崩さず、本音を語らず貫き通した姿が曲ににじみ出ている。
椎名林檎の魅力は歌詞の表現力にある。
日本の古くからの文法、固有名詞や東京の地名と、突拍子もない英文を錬金術のように組み合わせていく。この曲でもふんだんに混ざり合っている。
まるで小説のような品のある表現、聞くだけじゃわからない英単語の使い方。そして、これらの歌詞に意味があることが一番の凄みだ。
意味のない単語の並べて、口の気持ちよさを優先した歌も歌も多いが、この曲は波を打つようなリズムを生み出しつつ「もう潮時」「笑顔がまぶしいね 見納め小雨」と散り際を示唆する表現がちゃんとあるのが見事だと思う。
また、バンドの音が欠けていないのがまた良い。
東京事変はギター、ベース、キーボード、ドラムの4つの楽器で主に構成されている。よく3ピースバンドでも「あれ、ベースが…」と楽器の音に差が生まれてしまい、それぞれの楽器がちゃんと聞こえてくることが少ない。もちろん、聞こえる場合もあるが、それは耳を凝らして凝らして聞こえた結果だ。
けど、この曲はシンセサイザーのようなエレキギター、精密なリズムを刻むベース、遊び心のあるドラムとタンバリンが聞こえる。キーボードはどこで聞こえているのか。
間奏だ。キーボードというよりかはピアノだが、あの十数秒の間奏で奏でるピアノは曲全体の品を高めて、去り際のスポットライトを温暖に染める。
しかし、東京事変が解散したとは未だに思わない。
MVもメッセージがあるような、ないような。そもそも、東京事変自体が神秘的だ。
元号が平成から令和に変わり、東京オリンピックが目の前に来ている。日本が再び古き良き文化に触れつつある今、東京事変の再来は目の前かもしれない。
※Amazonアソシエイトを使用しています
日本独自の古風な表現を貫き通しているミュージシャンは椎名林檎ぐらいだろう。彼女の表現力がイマイチ分からない人は一度リオオリンピックの閉会式を見てほしい。改めて見ると、日本の美しさを伝えつつ、世界中のどの国も傷つけない。
後は語らない、ただ見届けろ!
【関連記事】
【今日のひとこと】
疲れすぎは気づかない。
今日起きたのが昼の2時。いつもは朝の10時。