鷲尾翼のブログ

【エッセイ】#06『久保みねヒャダ』

 新潟から上京すると、環境が変わる。生活はもちろんそうだが、見るテレビ番組も変わってきた。関東ではテレビ東京という放送局があり、リモコンの7を押せば見れるが、新潟では7は使えないボタンだ。ゴットタンやモヤさまも見れない。YouTubeとかではハイライトみたいなのが転がっていて認知はしていたが、何曜日の何分番組なのかも分からない。

 また、お昼の時間帯も違いが出てくる。関東では特番の再放送や映画が流れているが、新潟では新潟のグルメや観光地を地方アナウンサーが巡るローカル番組をやっている。東京ではそれこそテレビ東京ローカル局だと思うが、他と比べてはいけないほど田舎臭さがある。それもいいんだけどね。

 人生の長い時間の中では、新潟にいた時間が当然多いせいか、たまに番組を見れている違和感がよぎる。

 

 「久保みねヒャダこじらせナイト」という番組もそのひとつだった。

 久保みねヒャダこじらせナイトとは、漫画家の久保ミツロウ、エッセイストの能町みね子、音楽クリエイターのヒャダインの3人が独自の見解で話題の出来事を話し合ったり、時にゲストを交えてさまざまなコーナーをしたりするトークバラエティ番組だ。

 僕はこの番組のだらっとしたワイドショーな感じが好きだ。ニューズ番組ほど固くはないが、見るだけでネットニュースは知れるこのバランスが自分の中ではベストな位置にいる。

 今では月に一回ライブ公演と日曜深夜にライブ内容をダイジェスト版放送しているが、番組は2017年9月に一度終了している。

 

 番組がレギュラー放送していた時期が2013年からの約4年間だが、新潟では少しの間放送していたらしいが、当時の僕は中学、高校の学生ど真ん中の時期で田舎暮らしだからか深夜に起きる気力がなく、0時には寝ていた。

 だが、大晦日から正月になる年またぎのときだけ目をこじ開けるように起きていた。そのときは日テレのおもしろ荘やTBSのCDTVなど定番な特番が多く、チャンネルのポチポチしながら各局の新年への盛り上がりを見ていた。

 そして、年明けムードが少し落ち着いた頃、相変わらずリモコンのボタンをポチポチしていると、ワイン色のセットにあの3人が和服で静かに「明けましておめでとうございます。」と言う姿が映った。

 当時の僕は3人のことをよく知らかったし、番組自体もこれが初めてだった。しかし、何者かにジャックされたような支配感があり、すぐにテレビを消して我慢していた睡眠にありついたことを覚えている。

 

 あれから数年後、今では大好きな番組だ。そして、昨日ライブ公演のチケットを握りしめて観覧席で3人を生で見てきた。

 あのだらっとした感じ、あのぼそっと言うひと言、あのまんまだった。

 あっという間に時間は過ぎ、終演後スマホをひらくと開演から2時間30分経っていた。またジャックされていたようだ。

 

 

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